アルバムレビューvol.3 サカナクション「834.194」
どうもこんにちは、カムラです。
早くもアルバムレビューも第三弾となりました。今回レビューさせていただきますのは、サカナクション「834.194」です。
前作、「sakanaction」からおよそ6年3ヶ月ぶりとなるアルバムで1つの到達点「新宝島」を経て作られた二枚組のアルバムとなります。
前作や前々作が出た時の衝撃は大きなもので、2013年当時高校生の筆者がやっていたバンドのベースがどハマりしてしまい、パンク、メロコアから離れて解散の遠因になるほどでした(とてもかなしい)。しかし、それくらい人の音楽の趣味を変えてしまうほどインパクトが大きかったアルバムだった、と考えていただけると想像がついたでしょうか。
かく言う筆者も、インパクトが強すぎて、今作が6年も経つという事実に驚きを隠せません。
そんな新作、「834.194」をレビューしていきたいと思います。
レビュー
今回のアルバムのテーマは「サカナクションの今までとこれから」でしょう。
今作は二枚組になっていますが、収録曲の内半分は、前作「sakanaction」発表以降にシングルとして発表された曲になっておりサカナクションが東京に進出してからの作品「東京時代」を象徴しているとされています。
また、「ワンダーランド」の曲中のノイズで北海道の雪を踏む足音と、東京の街中で録った音を用いることで、東京時代と札幌時代を表現したように、その他の楽曲でもこれまでのバンド活動を総集するような工夫が随所にされています。
そして、このアルバムを語る上で欠かせない曲は間違いなくこの曲、セプテンバーです。
この曲の原曲は、サカナクションがまだ札幌を拠点としていた頃に制作されてた曲で、このアルバムを制作する際に当時のアレンジに寄せた札幌バージョンと、現在のアレンジに寄せた東京バージョンの2バージョンを収録しています。
こうして2つのバージョンを収録した理由として、純粋で作為性のないものを作っていた札幌時代と成功していくにあたって得た、無作為な曲を作為的に作る技術を東京時代の差を表現することによって、これからのサカナクションが目指す原点回帰へ気持ちを持っていくためだとされています。
このように、サカナクションは今作を通して過去である「札幌時代」の純粋な時代を思い起こしながら、現在の売れていく為に思考を凝らし売れる技術を磨いた「東京時代」を見つめ総決算し、これからの未来を真っ新な気持ちで歩んでいくことを表明した作品になっているのでした。
カムラのオススメトラック3選
①忘れられないの
今作のリードトラックとなる楽曲。この曲や「モス」、「多分、風。」ではバンドメンバーが愛した1980年代の音楽や文化に影響を受けた懐かしさを感じさせる仕上がりになっております。
「夜のヒットスタジオ」のように、当時の音楽番組を思わせるMVも必見です。
②モス
シングル「忘れられないの」の、もう一つのA面曲。
個人的にはこっちの方が好きだったりします。
歌詞の中にある繭は、次の段階に進んでいくにあたって純粋に自分のやりたい曲を追求する「マイノリティ」と、売れていく為に思考を凝らした「マジョリティ」の間で揺れ動く山口一郎を表現しているのではないでしょうか?
③セプテンバー
今作のキー曲。上述の通り札幌と東京の2バージョンのアレンジがなされており、サカナクションの過去と現在を感じる事ができるようになっております。
以上です。ご覧いただき誠にありがとうございます。それでは!
サカナクション/834.194
DISC 1「35 38 52 9000 / 139 41 393000」
1.忘れられないの
2.マッチとピーナッツ
3.陽炎
4.多分、風。
5.新宝島
6.モス
7.「聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに」
8.ユリイカ(Shotaro Aoyama Remix)
9.セプテンバー -東京 version-
DISC 2「43 03 18 9000 / 141 19 175000」
1.グッドバイ
2.蓮の花
3.ユリイカ
4.ナイロンの糸
5.茶柱
6.ワンダーランド
7.さよならはエモーション
8.834.194
9.セプテンバー -札幌 version-