ディスクレビュー vol.78 Green Day 「Father of all...」
どうもこんばんは、カムラです。
本日は久しぶりシリーズ第二弾!ディスクレビューをしていこうと思います!
今回のアルバムは、Green Dayの「Father of all...」です。
前作「Revolution Radio」より約3年振り、13作目のスタジオアルバム。間にベストアルバム「Greatest Hits: God's Favorite Band」を挟んだことで一区切りをつけたのか、今作では「いくつになっても新しいことに挑戦する姿勢」が全編に渡って多々見受けられました。
セルフプロデュースだった前作から打って変わってポップパンク界隈で活躍している敏腕プロデューサー、ブッチ・ウォーカーを起用したことからもその意気込みは見て取れると思います。
そんな意欲作となった今作は果たしてどんな仕上がりになっているのでしょうか…次の章でレビューをしていきます。
ディスクレビュー
前述の通り、今回のテーマは「新境地への挑戦」だと思います。
これまでのグリーン・デイと言えば、「Dookie」や、「WARNING:」と言ったポップで誰もが聞きやすいパンクや、「American Idiot」や「21st Century Breakdown」と言った一枚を通して一つのコンセプトを元に作った、ロック・オペラ形式の作品を作ることで有名だと思います。
しかし、今回はそれらとはどうやら様子が違います。
アルバムをスタートさせて一曲目の歌い出しから「!?」
となる展開。
ビリーが裏声全開なのです!メロディの方も、これまでのストレートでスカッとするものではなく、どこかエロティックさを感じさせるメロディになっております。
これはそう、60年代に見られるソウル・ミュージックのよう。
MVでは、エルヴィスの「Jailhouse Rock」のオマージュを行っており、50年代、60年代に戻ろう!という姿勢が見えます。
他にも、「Take The Money And Crawl」では、イントロでブルース調のフレーズにスプリング・リバーブが使われ、The Kinksの「All Day and All of the Night」を彷彿とさせるリフで爽快なロックンロールナンバーが楽しめるようになっており、新しいことへの挑戦が随所に見られます。
更に驚くことに、曲の一つひとつがあっという間に終わってしまうのです。それもそのはず、10曲収録で総再生時間は30分弱。
これは、1stアルバム「39/Smooth」以来の短さだそう。
これらからは、新しいことへの挑戦と同様に原点に回帰する、というメッセージも込められているように感じられます。
また、今回もう一つ新しい取り組みとなったのがブッチ・ウォーカーのプロデュース。
セルフプロデュースだった前作「Revolution Radio」とは比べ物にならないくらいしっかり練り込まれ、feederや近年のリアム・ギャラガーらオルタナティブ系の聞き応えのあるサウンドはリスナーにとっても満足のいくものになっています。
ただ、前述の「新しい取り組み」は、上手くいくことばかりでは無かったようにも思えます。
ソウルやロカビリーを意識し過ぎるあまりグリーンデイらしさが少し希薄になったメロディに、プロデューサーのブッチ・ウォーカーによる、ややかけ過ぎ気味のビリーのボーカルなどまだまだ改善するポイントはあるように感じました。
ですが、これだけ新しい事に挑戦しても、既存のファンにとって満足のいくものになっているのは、彼らの根底にあるパンクスとしての姿勢と、持ち前のポップセンスにあると思います。
こうした新たな取り組みとしては、The Clashの「ロンドン・コーリング」や、The Rolling Stonesの「アンダーカバー」があります。
「ロンドン・コーリング」はスカやレゲエの要素を取り入れた新しい取り組みでの成功体験を活かし、次回更なる大ヒットの「サンディニスタ」を作る布石になりました。
また、「アンダーカバー」は同様に行った新しい取り組みに活路を見いだせず、結局原点回帰となる「スティール・ホイールズ」まで迷走期に入ってしまいます。
この作品「Father of all...」がどちらの方になるのかはこれから次第です。願わくば次回作は、サンディニスタのように更なる飛躍を遂げた大ヒット作になって欲しいものです。そう、彼等が以前方向転換によって成し遂げたAmerican Idiotのように。
カムラのオススメトラック
①Stab You in the Heart
ビリージョーの痛烈なシャウトから始まるロックンロールナンバー。荒々しいフレーズからはガレージ・ロックを連想させます。こうした作品だとブッチ・ウォーカーのオルタナティブ風のプロデュースがうまくマッチしていると思うので次作でもこんな曲を聞けたらと思います。
Green Day - Stab You In The Heart (HQ)
②I Was a Teenage Teenager
今作で1番普段のグリーンデイらしさの残る曲。前々作の「Uno!」、「Dos!」、「Tre!」3部作の頃を思い出させるメロディとブッチ・ウォーカーのキラキラした中に哀愁を漂わせるプロデュースが交わり聞き応えのある楽曲に仕上がっています。
Green Day - I Was A Teenage Teenager (Official Audio)
③Graffitia
アルバムのラストトラック。筆者の特におすすめ。
60年代の懐しい音楽達へのリスペクトと、元来のグリーンデイらしさ、そしてブッチ・ウォーカーのプロデュースのそれぞれが機能した楽曲。
元々ポップスも好きなせいもあるのかもしれませんが、グリーンデイの持つ「聞いていて気持ちいいアメリカン・ポップな部分」がうまく活かされて、他の曲で少し感じた「過去の世代の曲をコピーしている」要素から一つ進んだ「自分らしさを失わなずに昇華できている」曲になっているなあと思ってついついリピートしてしまいます!
以上アルバムレビューでした!今後は新作ばかりでなく、過去作もレビューしていければと思います。
それでは!
アルバム
Green Day 『Father of All...』
1. Father of All
2. Fire,Ready,Aim
3. Oh Yeah!
4. Meet Me on the Roof
5. I Was a Teenage Teenager
6. Stab You in the Heart
7. Suger Youth
8. Junkies on a High
9. Take the Money and Crawl
10. Graffitia